大久野島のうさぎは幸せか
どうもこんにちは。
昨年(2019年)の10月末、twitterで大久野島のうさぎについて長々とつぶやいたものをまとめておこうと思います。
大久野島(通称うさぎ島)には以前から思うところがあり、いずれblogでもと考えてたんですが、10/30からワークショップが始まるとか。そこでその前に、思うところを表明しておきたく、blogが間に合わないのでここでつぶやいておこうと思います。長くなるけどお許しを。(1/12)
— 大野瑞絵 (@shima_risu) October 29, 2019
まずは大久野島のうさぎ(カイウサギ)は「日本にうさぎがいる姿」としては不自然だということ。あの種類のうさぎは日本の野生下には生息してない。外来生物という位置づけ。「特定」外来生物ではないが侵略的外来種というやつ。生態系被害防止外来種リストだと重点対策外来種。(2/12)
— 大野瑞絵 (@shima_risu) October 29, 2019
国立環境研究所・侵入生物データベースより
生態系被害防止外来種リスト | 日本の外来種対策 | 外来生物法
リスト(pdf)
カイウサギは、総合的に対策が必要な外来種(総合対策外来種)のうちの重点対策外来種。「生態系に係る潜在的な影響・被害が特に甚大である」「絶滅危惧種等の生息・生育に甚大な被害を及ぼす可能性が高い」とされています。
日本でのカイウサギの最も「自然」な状態は、飼育管理下にある状態です。ペットとして、展示動物として、あるいは(飼い主としてはアレですけど)経済動物として。人によって飼われているというのが、日本で暮らすカイウサギのあるべき姿なわけです。野生化してるのは不自然なの。(3/12)
— 大野瑞絵 (@shima_risu) October 29, 2019
野生化している外来生物への餌付けが咎められないのなんて、大久野島のうさぎくらいなんじゃないでしょうか。これがもし、「休暇村大久野島」なりどこかが管理しているうさぎだというのなら、動物園のふれあいコーナーのようなものですから、ありっちゃありなのでしょう。管理…してるの?(4/12)
— 大野瑞絵 (@shima_risu) October 29, 2019
動物に食べ物を与えるということは、その動物の命に対して責任をもつことです。その個体が生きていくすべて、排泄物も、繁殖して生まれる子供に対してもです。責任もてないなら餌付けはしない。野良猫に餌だけやる猫おばさん/おじさんと、いわゆる地域猫活動とが違うのもそこでしょう。(5/12)
— 大野瑞絵 (@shima_risu) October 29, 2019
観光資源としてうさぎを利用するなら、観光関係者は島に生息するうさぎを管理しなくては。全頭捕獲し、マイクロチップなりなんなりで個体識別し、避妊去勢手術をする。捨てうさぎもいるようなので(なぜロップやレッキスがいる)、島内に入るときに荷物検査したほうがいいかも。(6/12)
— 大野瑞絵 (@shima_risu) October 29, 2019
この道(国指定七ツ島鳥獣保護区(石川県輪島市の離島)内におけるアナウサギの根絶について~積極的駆除対策を実施してアナウサギの根絶を達成した日本国内初の事業~ https://t.co/DXabYCz7M6 )はもう選べない。(7/12)
— 大野瑞絵 (@shima_risu) October 29, 2019
私は、大久野島でのあらゆる形でのうさぎへの餌付けをやめるべきだと思うんです。島内にいるうさぎは、もともと自然に生えている植物を食べて暮らしていく。決して「うさぎのための野菜畑」的なものは作らない。自分の食べ物は自分でなんとかしてもらう。(8/12)
— 大野瑞絵 (@shima_risu) October 29, 2019
それによって(こっそり餌付けをしたり、減る数よりたくさん捨てうさぎが入ってこないなら)、頭数は徐々に減るでしょう。食料をめぐる争いもあるかもしれない、栄養不足で繁殖数も減るでしょう。それで、島内の本当に自然に生えている植物だけで生き延びるうさぎの数だけが残る。(9/12)
— 大野瑞絵 (@shima_risu) October 29, 2019
観光客は、餌で釣ってうさぎまみれになるのを楽しむんじゃなくて、島内を歩いてうさぎを探す。人を「餌マシーン」と認識しなくなったうさぎが人に近寄ってこなくなっても、それでいいんです。楽しいじゃないですか、自然の中で、なかなか見つからないうさぎの姿を探すのって。(10/12)
— 大野瑞絵 (@shima_risu) October 29, 2019
現在の大久野島のうさぎの姿にはもうひとつ、大きな懸念も。うさぎの遺棄に関してです(大久野島に捨てるのとは別)。うさぎが飼いきれなくなったとき、「自然の中に放してあげたほうが大久野島のうさぎみたいにのびのび暮らせて幸せなはず」って思っちゃわないかな?って。(11/12)
— 大野瑞絵 (@shima_risu) October 29, 2019
大久野島のワークショップ https://t.co/gbUM4x34FM の落とし所はわかりませんけど(地方事務所とはいえ環境省がやるんですからねえ…)。以上です。長々とすみません。言葉足らずはいずれどこかで。(12/12)
— 大野瑞絵 (@shima_risu) October 29, 2019
つぶやきの再掲は以上です。
つぶやき中にも出てくるワークショップ(4回)は1月までだったようで、その後シンポジウムが2月11日にあったようですね。
大久野島未来づくりシンポジウムの開催について
http://chushikoku.env.go.jp/pre_2020/post_110.html
どちらも参加していませんので具体的にどんな内容だったのかはわかりません。
ネット上でも「参加しました」みたいな情報はあまり見当たらず、見つけたのは以下の記事くらいでした。
広島観光コンベンションビューロー
「大久野島未来づくりシンポジウム」にパネリストとして参加しました。
https://www.hiroshimacvb.jp/info/news/1537.html
ほかに、リンクをたどると削除されていたので載せられませんが、頭数のコントロールを考えているというような内容もあったことが垣間見られる個人blogの記事がありましたけど、他にあんまり見当たらないんだよなあ。
ところでワークショップが行われている頃に「ゴゴスマ」で大久野島のことが取り上げられていました。島内ではすでに餌の販売はしていない(が本土側のフェリーターミナルでは売っている)ことも紹介されてました。
そしてそのなかで、「島をウサギ島として存続させる方法を考えたい」という環境省の人のコメントが紹介されていたので、どうあれうさぎを観光資源として使い続けるということなのだろうなあ、という気がします。
利用するならしっかり管理しなきゃいけないだろうと思います。
極端にいえば全頭一斉捕獲&避妊去勢手術じゃないですか。
TNRですよ。
でも現実的にそれは非常に難しいでしょう。全頭処分も全頭里親募集も無理でしょう。
私はやはりツイッターでもつぶやいたように、どんな形であれ餌やりはしない、島内に「自然に」生えている植物だけで生きていく頭数のうさぎを、距離をとって観察する、というのが「日本の在来種ではないのに(ペットとしてではなく)日本の自然界に住み着いてしまったうさぎ」との(うさぎを観光資源として利用する前提での)最善の付き合い方ではなかろうかと思うのです。
それでも(野生化した外来種のうさぎと動物園のふれあいコーナーのうさぎの区別がつかない人たちは)食べ物をあげたくなるかもしれない。
なので、餌付け禁止だけじゃなくて、「大久野島はうさぎの楽園」とかいう宣伝をするのもやめたほうがいい。行きたくなって餌あげたくなっちゃうから。
そもそも楽園じゃないじゃないですか。
繰り返しますが、日本にいるカイウサギにとって「楽園」なのは人の飼育管理下にいることなんです。むしろ大久野島のうさぎたちは、「日本で」本来あるべき場所にいることのできないかわいそうなうさぎたちじゃないのかな、とも思う。
不幸なうさぎは1匹でも減ってほしい。
私はうさぎが大好きだけど、大久野島のうさぎのことを思うときには常にもやもやとした感情にならざるを得ないのです。
ではまた。