大切なことはすべてシマリスから教わった

ツイッターで告知したように、久々にシマリスの飼育書を発刊することになりました。2015年以来です。どっぷりシマリス漬けになれる日々にワクワクしたり、さまざまなプレッシャーにドキドキしたりしているところです。

発刊となる2022年は、初めてシマリスを飼い始めてからの節目にあたる年でもあります。現在、私にとっては小動物全般が「ホーム」だと思っていますが、なかでもシマリスはホーム中のホーム、スタート地点にして拠り所。シマリスはたくさんのことを私にもたらしてくれました。この記事のタイトルにした「大切なことはすべてシマリスから教わった」というのは、まあよくある言い回しではありますが、シマリスが教えてくれたことや導いてくれた道筋を思い返してみようと思う次第です。

初代シマリス、りすこ、と名付けたシマリスの話です。

彼女が教えてくれたことの一番は、これです。
動物は「生」を諦めない。
どんな動物でもそうなんだと思いますが、たまたまシマリスだったのでシマリスらしい方法でそのことを教えてくれました。
彼女は腫瘍のために約6歳半で亡くなっています。
亡くなる前日、彼女はケージの片隅に、食べ物を隠していました。
ものがうまく食べられなくなり、痩せ、誰がどう見たって死が間近なのに、です。
でも、食べ物を隠しておくということは、彼女は未来を信じていたのでしょう。自分はもう貯食をしておく必要なんてないんだ、とは思わないのでしょう。
動物はいつだって生きることを諦めたりしないのだということ。
だから飼い主はそれを全力でサポートするのだということ。
(苦痛を伴う病状のときの安楽死の問題は別の話です)

実はそのときに彼女が隠した食べ物がまだ手元にあります。
今ほどいろいろな情報もなく、とにかくなんでも食べてくれるものを、と思ってあげてみた「たまごボーロ」。
これを見ると、一番大切なことを思い出させてくれます。

りすこは秋冬になると凶暴になり、冬には冬眠するシマリスでした。
慣れていたのに、ある日突然、目を三角にして噛み付いてきたときのことは、今でも忘れません。その頃はそんな情報などどこにもなく、「どうしたんだろう、おかしくなっちゃったんだろうか」と思ったこと。凶暴になっているときはケージから出さなきゃいいのに、部屋に放しては攻撃されるあの恐怖(笑)。こればっかりは経験してみないとわからないかもしれませんね。あんなにちっちゃい体なのに猛獣よりも恐ろしい。

冬眠していることに気づいたときの驚きも覚えています。帰宅すれば巣箱から出てくるのに、出てこない。あれ? と思って巣箱の中を見てみると寝ている……ん? 息してる? 触ると体はひんやり冷たくて、「死んじゃったの!?」と思ったときの心臓がキューッとする感じ。落ち着け、落ち着け、と言い聞かせてよく見ると、時々呼吸をしている。これが冬眠か、と理解できたときの安心感。
(飼ってきたシマリスのなかには冬眠するのもしないのもいましたが、うちは、冬眠する個体は冬眠したいままさせる派です)

シマリスには秋冬になると気が荒くなる個体がいることや、その時期と冬眠する時期がどうやらリンクしているのだということを雑誌や書籍で確信をもってお伝えできたのは、体験させてくれたことが大きかったなと思います。

もともとは夫(当時)が「飼いたい」と言い出して飼うことになったシマリスだったのですが、パソコン通信シマリスの情報収集をしたり、「飼育書がないならみんなで作ろう!」とパソコン通信上で飼育書を作ったり、なんだかんだしているうちに、ふたりで飼っていたシマリスは、私ひとりの行く手を照らす存在となっていったわけです。手のひらに乗るような小さい動物に人生を左右されているこの感じ、嫌いじゃありません。

時代がパソコン通信からインターネットに変わってからは、ホームページの掲示板を通じてリス友達もできました。何年か経ってだれもリスの現役飼い主でなくなってからも交流が続いているのも、シマリスが連れてきてくれた嬉しいご縁だなと思います。管理状態のよくなかった某リス園に改善を要望したりなんかもしたものです。

りすこ以外のシマリスはどの子たちもみんな、よそのおうちから来てくれた子たちで、これもまたご縁。シマリスの縞は人々をつなぐリボンなんだね、なんて思ってみたり。

ペットとしてはけっこう前から飼われていてポピュラーな存在なのに、野生っぽさがなくならないし、ある意味、人に媚びない。シマリスは、やっぱ面白いやつだな! と改めて感じています。

飼育書作成にあたっては、多くの皆さんにご協力を仰ぐことになると思います。
たくさんのシマリス愛を縞々リボンでぎゅっと結んで形にできればいいな、と思っています。またそのさいには、どうぞよろしくお願いします。

ではまた。