【うさぎを飼うのはめんどうくさい~うさぎを飼いたいあなたへ】


今年うさぎを飼いたくなっているあなたへ

今年はうさぎ年。うさぎが注目される一年です。

うさぎかわいいですよね。でもけっこうめんどうくさいんですよ。知ってますか?

見た目のかわいさには惹かれちゃいますけど、性格がおとなしいわけじゃない。頑固うさぎは多いし、ツンデレならかわいいほうで、ツンしかないうさぎもいる。悲しくなるくらい距離感を保つうさぎもいる。もちろんデレデレかまってちゃんうさぎもいるけれど、個体差はほんとうに多いです。

たぶん、あなたがイメージしているうさぎとは全然違うかもしれません。

イメージされているうさぎ像としては、かわいくておとなしい、抱っこできて、まるでぬいぐるみみたい!!

だがそんなのは都市伝説にすぎません。
抱っこが積極的に好きなうさぎなんて、いないだろうと思います。(いろいろな施設で抱っこされているうさぎは、あれは「諦めている」のだろうと個人的には考えています)

いや、都市伝説でもないです。都市伝説は「信じるか信じないかはあなた次第」だけど、これは信じないほうがいい都市伝説です。

ところで、ある意味でいえば、うさぎは飼いやすい動物なんだろうと思います。急に矛盾したことを言ってますが、一面ではそう。だってうさぎは経済動物、家畜でもあります。かつては「農家の副業」などでたくさん飼われてた。飼いやすくなければ、家畜にはなりえない。期限付きでの飼いやすさ、これも事実ではあると思います。

でもね。

うさぎを家族に迎えたときに願うのは、一年でも長く一緒にいたいし、いつも元気でいてほしい、いつも幸せでいてほしい、というようなことだと思います。

だとするならば、うさぎは飼いやすくない動物です。

ふだんは、家で一番エラいのは自分だといわんばかりに、王さまや女王さまのようにふるまっていたり、嫌なものは嫌だ!ほしいものはほしい!とわがままあるいは頑固だったりと、大きな態度でふるまっていたりすることもあるわりに、態度とは裏腹に、その体はとても繊細で。

うさぎの心身の健康につねに気を使っていないと、具合を悪くしてしまうことも少なくはないです。

だから、こちらが気を使い、繊細にきめ細やかに扱いながら、大丈夫かなあと緊張していたりすると、こちらの緊張感がうさぎに伝わってうさぎのほうもピリピリしてくる、なんてこともあります。

うさぎのキャラクターを受け入れるおおらかさと、心身の変化にいち早く気づくことのできる繊細さのどちらもが必要なのがうさぎなんです。

ほら、めんどうくさいでしょ。
だから、あんまり簡単にうさぎを飼うことを決めないほうがいいと思います。
どんな大変なことが待ち受けている可能性があるのか、飼育書などもたくさん出ているので何冊か読んでみてください(私のじゃなくてもいいので)。その作業は、ペットショップでうさぎを抱っこさせてもらって「ほら、かわいいでしょ?」って言われる前にやってください。

ペットショップの店員さんも、大変なことはしっかり伝えてください(それは義務でもあるわけですが)。「うさぎほしい」で浮足立っているお客さんが、販売時説明を上の空で聞いているようなら、「ちゃんと聞いてくださいね!」って言ってください。飼育書やネット上で、いくら多くの人たちが「飼う前によく考えてほしい」と口々に言っていても、そんなの見てない人は見てないんです。ペットショップは、不幸なうさぎを(それは不幸な飼い主ということにもなります)生み出さないための、最後の砦なんですから。

それと、テレビの情報番組でうさぎが扱われることも多いんだろうと思いますが、おそらく、「飼いやすい」と紹介されるんだろうなと想像しています。うさぎ専門店の方が取材を受けたりすることもあるんだろうなと思います。取材を受けた人は、大変なこともいろいろ話していたりするんでしょうが、たぶん、想像ですが、視聴者の耳に優しい部分だけが編集されて放送されたりするんだろうと思います。

今年はうさぎ年。かわいいうさぎが大人気! でも抱っこは嫌い、いろいろな病気があるし治療費もかかる、診ていただける動物病院が多いわけじゃない(地方だとおそらく非常に少ない)、不妊処置をせずにペアで飼っていたらどんどん増えちゃう、飼い主がアレルギーになることがある、その他もろもろ…ほら、うさぎってこんなに大変なことばかりの動物なんですよ。…などという放送がされるわけがないじゃないですか。普通に考えたら。

だから、テレビで見て「飼いたい!」って思ったとしても、必ず、立ち止まって、正確な情報を集めてから、どうするか考えてほしいです。家に迎えたあとになってから「抱っこできない!」「オシッコ撒き散らした!」「いうことを聞かない!」「もういらない!」ってことになるのではみんなが不幸です。

それでもうさぎとの暮らしを選び、うさぎと幸せな関係を作っている方たちはたくさんいます。それぞれがいろいろな壁を乗り越えているんだろうと思います。

うさぎにはたくさんの人たちを魅了するすてきなところが本当にたくさんあるのに、「うさぎ飼いなよ!」と言えないのはちょっと残念ではあるのですが、安易な一言が遺棄や飼育放棄、多頭飼育崩壊に結びつくおそれが少なからずあるので、それはやっぱり言うことはできなくて。

書いておきたいことは山のようにあるのですが、きりがないので、ここではここまでにします。

うさぎを飼いたい、って思ったら、ぴょん!と飛びつくのではなく、決意の前によーく考えてくださいね。うさぎを飼うのって、めんどうくさいですよ?

追伸:
この記事は安易な飼育を防ぐために書きました。私自身がうさぎ(などの動物)の飼育管理を「めんどうくさい」と思っているわけではないので、心ある飼い主の皆さま、そこにツッコミを入れないでくださいね…